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平成23年4月2日

5月14日

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六道のこころ   中谷昌善

 

「死後の世界はどうなっているの」とよく質問されます。仏教の死生観も輪廻転生と言うインドの死生観から大きな影響を受けています。
車輪のように、生まれ変わり死に変わりしてその輪廻転生の輪から抜け出て、解脱することを仏になる、悟りを開くと言います。我々仏教徒はこの仏になること悟りを開くことを究極の目標に掲げているのです。
 
子供の頃、お寺で地獄絵などを見られた方も多いと思いますが、自分の行い、悪いことをしたら地獄に堕ち、良いことをしたら極楽に行ける、だから悪事を働かず、善行を行いなさいと諭されたのではないでしょうか。それではその迷いの世界である六道についてお話を進めてまいります。 
 
六道とは地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天、の六つの世界を言います。
 地獄 針の山が有ったり、血だらけの大きな池があったり、嘘を言った人は鬼に舌を抜かれたり見るも無惨な苦しみの世界です。
人殺しや、詐欺や、罪を起こした人達が罪の償いするかのような怖い世界です。
 
餓鬼 この世界に墜ちると餓鬼の姿になります。餓鬼は喉に火があり喉が渇いてお水を飲んでも喉の火のため蒸発して渇きを潤すことが出来ません。お腹が空いてご飯を食べても喉の火のためお腹までいきません、いつもお腹が空いた状態です、そのためお腹は大きく飛び出しています。
人に施しをしなかった貪欲な人が墜ちる飢えに苦しむ世界です。
 
畜生 犬、猫などの動物の世界です。愚かな人間より賢い動物もいますが。本能のままに生き、親子でも食べ合いをする弱肉強食の動物の世界です。
自分の欲望のままに本能のままに生きる人達、我慢をすることを忘れ、やりたい放題に生きる人達の墜ちる世界です。
 
修羅 喧嘩や、争いをする魔類の世界です。世界の至る所では、文化や、宗教を背景に争いが絶えません。殺し合いによって暴力によって何が解決するのでしょうか。私達は平和な安全な国で暮らすことが出来ます。この平和がどういった犠牲の上に有るか感謝を忘れてはいけません。
 
人間 生、老、病、死のある諸行無常の娑婆の世界、私達人間の世界です。
他の世界よりはましですが、まだまだ苦しみの世界です。

 天 天界は快適な世界です。然し、まだまだ輪廻転生の中ですので、人間よりは長生きですが寿命が尽きると生まれ変わりが有るまだ迷いの世界です。 
 
このように六道世界の一面は死後に対しての生前、今の生き方を戒めて、悪い行い悪業をつむなと教え、良い行い善なる行い善業をつめと勧めているのです。

 日常の世界に目を移してみましょう。  夏場によく経験してしまうのですが、夕食の時のビ−ルの味が忘れられず寝る前にもう一杯、次の日の朝頭が重い、体調が悪い。そんな経験は有りませんか。腹八分目で我慢すれば良かったものを欲の心を出してしまったのが悪かったのです。餓鬼の心です。

 社会的リ−ダ−になるべき人達の事件や犯罪が目につきます。また、離婚や不倫と言ったことも社会問題となってきました。自分本位な本能のまま、やりたい放題の過った生き方、理性を捨てた愚かな心がそんな事件を起こしているのです。畜生の心です。

 阪神淡路大震災の時、あのテレビの映像を見て「何かお手伝い出来る事が有れば」と駆けつけてくれた人はまさに天使のような心の持ち主でしょう。

 六道は死後の世界に対する生き方を戒めている一方、私達の心の一瞬一瞬の世界を表しているのです。苦しみも幸せも、迷いも悟りも我が心の中にあるのです。

お大師さまは、「仏法 遥かに非ず 心中にして即ち近し」と仰せになられているようにこの身体この心で悟りを開き苦しみから解放され幸せになれると、さとされています。

自らの生き方、心の持ち方を真剣に考えながら菩薩への信仰の日暮らしをしましょう。