本文へジャンプ神戸西区・伊川谷のお大師さん
      

ホーム

あゆみ

年中行事

教えと活動

法話

交通案内

住職紹介

ハワイ開教区の思い出

リンク集


住職観察日記
我が輩はレオにゃん


ラジオ法話
高野山の時間

住職担当分

平成23年4月2日

5月14日

大師寺地図





ころに合掌 中谷昌善

 お寺にお参りした時、仏さまご本尊さまを拝むとき、私達は身を正し、心を正し、手を合わせてお祈りを捧げます。

 このように手を合わすことを合掌と云うのは皆様もご存じの通りです。

 日常の生活の中でも、嬉しい時有り難い時手を合わせて感謝の気持ちを表します。失敗をしたり悪いことをして謝る時もやはり手を合わます。また、無理なお願い事を頼む時も手を合わせます。

 インドやタイ、東南アジアの国々へ行くと挨拶を交わす時、合掌してお互いを拝み合います。とても美しい挨拶です。 皆様も胸の前に右の手と左の手を合わせて合掌をしてみて下さい。右手は仏さま、お釈迦さま、観音さま、阿弥陀さま、大日さま。私達を救って下さる悟り開かれた仏さま 菩薩さまを表します。

 左手は凡夫、まだまだ悟りに至っていない迷いと苦しみの世界に生きる私達を表します。仏さまを表す右手と私達凡夫を表す左手を合わせて、仏さまにご加護とお導きをいただきまた私達も仏さまの位まで上がらせていただくと、心に思い浮かべながら合掌をするのです。
 次に少し手の力を抜いてみて下さい。あなたの合掌してる手が少し膨らみましたね、これは花の蕾です。蓮の花の蕾です。蓮の花は仏教ではとても大切にされる花です。皆様が拝まれている御本尊様、仏さまは何の上に座られたり、立たれたり、されているでしょうか。そうですね、仏さまは蓮台の上、蓮の花の上に座られたり立たれたりされています。

 蓮の花は、日本ではお盆の頃に成長しあの美しい、きれいな姿をあらわし私達の心を和ましてくれます。また、お仏壇、仏さまのお供えのお花として、大きな葉っぱはお盆の供物のお皿として使われます。収穫の頃になると、栽培している人たちがドロドロになりながら蓮田や
蓮池の中から泥まみれの蓮根を収穫する姿が見られます。  

 蓮根は砂地のようなきれいな所では成長しません。蓮根はドロドロした土の中でのみ育ち、その泥の中から養分を吸収し成長します。お花はそんな蓮根とは異なり、きれいな汚れの無い姿を、水面にあらわすのです。

私達の生きているこの人間社会、娑婆の世界は人をだましたり、だまされたり、妬みと怒りに満ちあふれた弱肉強食のドロドロした世界ですが、そんな娑婆の泥に染まらず、それを肥料にして蓮の花のように美しい花を咲かす、そんな蓮の花を手本にしたいものです。皆さんは、お大師さまがいらっしゃる高野のお山が、蓮の花が咲いている地形になっているのはご存じですか。          

蓮の花はそれ自体、仏の座、仏の世界お浄土をあらわします。高野山に参拝されるのは、お大師さまのいまします、お浄土に登り娑婆に生きる私達の苦しみや悩みをお聞きいただくと共に、身も心も楽にしていただき菩薩の道へとお導き下さるのです。      

 胸の前に合掌をして蓮の花の蕾が我が胸の前に有りと想い、心の中にそのつぼみを移します。今一度、心の中に蓮の蕾が有りと想い、その蓮の花を大きくを咲かせるのです。その上には御本尊さま、お大師さまが座っていらっしゃるのです。            

お大師さまは、自らの著作「秘蔵記」の中で「凡夫の心は合蓮華の如く、聖人の心は開蓮華に似たり」と、私達迷い苦しんでいる者の心は蕾の蓮であるが、悟られた方の心は大きく咲いた蓮の花のようである、と述べられています。               

 胸の前で合掌をして自身の心にある蕾の蓮を大きな花に咲かせ、お大師さまにお座りいただき、お大師さまと同行二人の信仰の日暮らしをいたしましょう。                       合 掌